ポエム
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ひとつだけの お願い
もう何十年も
言葉を交わしてないよね
意地っ張りなのは
貴方似

10歳の誕生日を迎えた日
コホンと咳払い
今日から君は何十年かの
二桁人生をしっかり
生きなさいって
正直 意味不明(笑)

要約するときっと
100歳になるまでの
年齢のことだろな
神妙な顔して聞いてた
なあんか「キミ」って呼ばれて
大人みたいで嬉しくって

ねえ お父さん
お継母さんとの暮らしは幸せ?
再婚して良かったと
心から思えている???

それならいいんだ
良かったって素直に
安心出来るから

親子なのに疎遠になって
気軽に電話すら出来なくなったね
お継母さんが気にするもの

わがままなんて
ほとんど言ったことない
でも たったひとつだけ
お願いしたことがあったな

携帯電話持って
そしたらいつでも
自由に話せるから

あれから
数えるほどしか
鳴らしたことないけど
頑固なとこもおんなじ

ガラケーだから
もうすぐ繋がらなくなる
だから固定電話にかけるよう
それだけの伝言

もうわかった 降参
全部赦してあげる

鳴らないのに
約束守ってくれて ありがとう
待っててくれたから それで良いよ
何もかも リセットするか

ねえ お父さん
二人乗りの自転車で
ソフトボールに行く
日曜日の朝が 好きだったよ
唯一独り占め 出来たから
背中に捕まって 座布団敷いても
お尻が痛かったけど 

あの空は綺麗だったね
あの日に戻れたら良いね

ね、お父さん。





22/01/27 00:29更新 / 美織



談話室



■作者メッセージ
たったひとりの
私のお父さんへ

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