ポエム
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有意義な話
詩人の全詩集を見て驚いた
何という薄さだろう
こんな本が詩人の人生を代表しているのだから
さぞ素晴らしい本にちがいない
かといってそんなわけもなく
いい詩といまいちな詩が混ざっている
にちがいない
詩人によっては読むに耐えないこともある
にちがいない
見方を変えるとこれでも厚すぎるのかもしれない
というのも詩人の数は年々増え続けているから
読者の数よりも明らかに多いから
大学進学率が高いことの影響か
それともSNSの普及のせいだろうか
ヘボ詩人の大量発生
ヘボ詩人も生き物なので死ぬまで死ぬことがない
ヘボ詩人の特徴はいくつかあって
代表的なものは自分がヘボ詩人ということに
生涯気がつないということ
と詩人を生涯やめることがないということ
だからヘボ詩人は増える一方
そう考えると詩って詩人のためではなく
ヘボ詩人のためにあるみたいだなって
思えてくる

「生そのものが病んでいる」(らしい)
生は確率だ 生は偶然だ 生はある種の決定論だ
だとしたら
詩は確率だ 詩は偶然だ 詩はある種の決定論だ
とも言えるし
ヘボ詩人は確率的存在だ
偶然がヘボ詩人を生み出した
それはある種の決定論だ
とも言える
だからといってどうということはないが
それはある種の慰めではある
というのも確率的存在は「しょうがない」から
ヘボ詩人の詩は詩的なところが一切ないが
彼らがいい詩を書けない
かつ諦めないという光景に
詩を見いだすことすらできそうだ

それともこれは社会学の領域かな
もう何の確信を抱けずにいるのに
幽鬼のようにヘボ詩人がうろつく
思いこみが強いヘボ詩人
でも思いこみが強い詩人もいるから
それは有意な差ではないが
ヘボ詩人の話はもうやめよう
薄々気づいてはいたが
この話には
建設的なところが一切ないから
ああ、もっと有意義な話がしたいな
もっと有意義な話
明るい話がいいな
ここで自分のことにとやかく
いってもいいけど
有意義にならなそうではある
そういう確率的存在
19/07/15 08:01更新 / asukusan



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