ポエム
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アリスのティータイム
魔法の国へゆく為に赤いリボンで小指を繋いだ
唇にはイチゴ色のルージュをのせて
青い悲しみは薬と一緒に
身体の中を溶けてゆく
妄想は甘い角砂糖
注がれたものの、ストレートティーはお口に合わない

思い出が頭の中でパレードするの
架空のティーカップで目を回している
多重奏の耳鳴りはすぐそばまで来て
白いお部屋へ連れて行く
つかず離れずのもつれる振り子の糸が解けたら
嘘にすり替えていた言葉の魔法も溶けてしまうでしょう?
スプーンでクリームをたっぷりかけて
渦巻いて
あたしは底に沈むお砂糖になる

鏡の国で陽炎が動き出す
ウサギの瞳は悲しみの赤
今にも蝋がなだれてゆきそうな
物質の脆さ
彫刻のように理想ばかり散りばめて
不器用が嵩じた悲しみを
注ぎ込むティータイム

乾いた音が交錯している
万華鏡は単調に廻るパレード
秒速に這わせた呼吸の音が生存確認する合図
溜め息を感知して鳴り止む耳鳴りも不快だわ
綺麗事でしかない愛情なんて欲しくない

ミルクを注ぎすぎて甘ったるくて気怠い
憂鬱に体温が上昇しているぬるい午後

欠けた分甘くなれたら、と放り込んだ角砂糖を飲み干して
きっと今のあたしが此処にいる
19/04/20 14:07更新 / なさか



談話室



■作者メッセージ
久々

過去作「現実世界のアリス」とはまた違うアリスのお話。

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