珈琲
広い部屋の片隅で僕はひっそりと目を覚ます。
白いカーテンがゆらゆらと揺れている。
部屋の真ん中にはひとつのテーブル。
ふたつの椅子。
ひとつのサイフォンとひとつのカップ。
部屋の反対側のごみ箱には
カップひとつぶんの重さの瓦礫。
それにしても本当にがらんとしている。
部屋の広さのためだけではないのだろう。
サイフォンから汚れた涙が滴る。
僕の頬はこの冬酷く乾燥しているけれど
この一瞬は頬も悲しく潤うんだ。
苦い後悔を啜って溜息をつく。
嗚呼 どうかもう少し この香りに包まれていたい。
カップから温もりが消えるのを
この目で見つめるのは
怖いけれど大切なことで。
君はもう戻ってこないのだろう。
行く時間だ。
ひとりぶんの靴がある玄関から
からっ風の鳴る 外の世界へ。
白いカーテンがゆらゆらと揺れている。
部屋の真ん中にはひとつのテーブル。
ふたつの椅子。
ひとつのサイフォンとひとつのカップ。
部屋の反対側のごみ箱には
カップひとつぶんの重さの瓦礫。
それにしても本当にがらんとしている。
部屋の広さのためだけではないのだろう。
サイフォンから汚れた涙が滴る。
僕の頬はこの冬酷く乾燥しているけれど
この一瞬は頬も悲しく潤うんだ。
苦い後悔を啜って溜息をつく。
嗚呼 どうかもう少し この香りに包まれていたい。
カップから温もりが消えるのを
この目で見つめるのは
怖いけれど大切なことで。
君はもう戻ってこないのだろう。
行く時間だ。
ひとりぶんの靴がある玄関から
からっ風の鳴る 外の世界へ。