明晰夢
真っ暗闇を歩く大脳
夜のスクリーンは淡く眩い
それは理想であって
恐怖であって
何かの御告げであって
身長が伸びる度に
象(かたち)や距離も
鮮明になって遠くなって
ずっと変わらない人も
いたりして
僕のポッケは
軽くて大きい
おっきなものが
入っていたから
今は空っぽなのだから
園児が画用紙に描くような
学生の作文に書くような
押入れの隅にあるような
指の傷がときどき痛むような
晴れたオフロードを歩く大脳
夜のスクリーンは幕を閉じる
網膜は機能して鮮明で
ポッケの中に
小さな何かを感じて