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人は失ってから初めて大切さを知る
最近、祖父が亡くなった。
小さい頃遊んでくれていた。
大きくなってからは、話しかけられるのがうざったくなった。
人は失ってからその大切さを知ると誰かが言っていた。
けれど、もう居なくなった祖父は、何か出来たわけでもなく、掃除や料理をしていたわけでもなく、ただ生きて、そこにいた。
両親も、他の家族も、頑固な祖父にイラついていることが多々あった。
そんな中、突然祖父は亡くなった。
両親が葬式で泣いていた。親戚も泣いていた。母は、「ごめんね、ごめんね」と何度も言っていた。
祖父は父親の父親。号泣ではないけれど、やはり泣いていた。
そんな中で、私だけ涙が全く流れなかった。

何故泣く?これまであんなにイラついていたのに。生きていても何がある。寧ろ食費や世話なども省けるだろう?何に困る。年金か?年金が入らなくなるからか?
そんな事が頭の中でグルグル回っていた。
そんな自分が、やはりクズだと思いもした。

しかし考えても考えても、生きていたところでどうせストレスが溜まっていただけだと思った。
どうしても、別に死んでも変わらないんじゃないかと思った。
寧ろ、自分の家に死体がある…そう考えた時、少しドキドキした。あぁ、自分は本当に気持ちの悪い人間だなと思った。

そんなある日、祖父が生きてる夢を見た。
家から帰る庭で、いつもの窓から見える祖父がいた。
とても優しい笑顔で、おかえりと言われた。
目が覚めた時、私は初めて祖父は亡くなったんだ、ということで泣いた。
涙を流していた。

あぁ、生きてて何がある、そんな事関係ないんだ。これまで一緒に過ごしていた人と、もう一生逢えない。それがとてもつらいことなのだ。
その時、改めて『人は失ってから大切さを知る』という言葉が本当なのだと実感した。
目が覚めた私はとてつもない悲しみを心に抱いていた。
もっと話せばよかった。そんな後悔とともに
20/04/28 02:44更新 / 空白



談話室



■作者メッセージ
失ってから気づくと分かっていながらも、今あることを大切にしようとしない人間

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