ポエム
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問い
ぼくの涙はまだ生きているか
ぼくは嵐の夜きみを孕めるか
きみは全身をぼくに打ち付けてこい
ぼくは思う 愛することが
<希望>という二字で置き換えられることを―
そしてそこから重くもない軽くもない愛が
きみに沁み込んでゆくことを―

誰もこんな嵐の日には
振り返ることをしないだろう
だけどいつも横に並んで歩くきみが
何かの拍子に遅れたとしたら
ぼくはきみを探しにゆくだろう
傘もささず雨と雷に打たれながら―
きみのいる場所がキットあるはずだから―
きみは何かの片隅で震えているかも知れない
きみはどこかの底で目をつむって
しゃがんでいるかも知れない

ご覧 ぼくの涙はまだ流れているか
雨と一緒になってはいるが 雨の
粒より確かに大きいか
きみはぼくの手を覚えているか
覚えていたら握り返してくれ―

こんな嵐だから一緒にいよう
きみはぼくと同じに泣いているんだね
二人の涙は同じ所に至るから
そこが二人の暗闇の尽きる場所だ

だからそこから歩いてゆこうよ
ぼくは死に損ないかも知れないけれど
きみに出会えたことを誰に感謝すればいい?

もうじきこの街にも夜明けがきて
二人の足跡も消えてゆくけれど
それでも確かに歩いたんだ
ぼくたちの足の重さが
ぼくたちを支えているんだ
20/11/27 14:57更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
詩は<希望>そのものです。

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