ポエム
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ある小春日和に
長い信号の待ち合わせ
でも ぼくは嬉しかった
実直そうな老人が
風邪をひいた孫を連れて
ぼくの隣に佇んでいた
ぼくがその娘(こ)に笑いかけると
彼女は驚きを隠しようもなく
その老人にしがみついた
老人のぼくへの穏やかな微笑
ぼくはとても嬉しかった
「実直」という言葉の裏なんか
あってたまるもんか
信号が青に変わって
ぼくはそう思った
事実 その老人は
一つの曲がり角で
ぼくにゆっくりとお辞儀をした
ぼくは慌てて
深く深く頭を下げた
何て素敵な小春日和だ
ぼくはとても嬉しかった
20/11/22 23:34更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
何年も前の情景を思い起こして、筆にしました。心で生きてみることの、大切さを教わりました。

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