ポエム
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生きてこそ
ぼくは生きようとした すると
他人に生かされていることに気付いた
それが余り急だったものだから
一日ポカンと空を見上げていたよ

すれすれの感情が
段々と幅を持ってくるようになり
自分のもろさがハッキリと
絵に描けるようになった

焦っては駄目―待つこと
時が四肢の栄養になるまで
待つこと―だが それも
辛いことには違いなかった

必ず季節は巡ってきた そして
巡って行った ただ
その時々の風景の明暗に
涙したりしていた

人は救われるのではなく
掬われるのだ 底から
何ものかの確かな視線を
伝わって昇ってゆくのだ

他人も<人>でぼくも<人>
人は争わない方がいい
だからぼくは 他人の側に
歩み寄っていったんだ

もしかしたらその人を
生かせることが出来るかも―
それは 傲慢な
ぼくの期待でもあったろう

そしてその間 泣きながら
笑顔を忘れたことは一度もない
それでいいんだと思う
笑顔に勝るものは余りない

毎日がキラめいている
時の流れや季節の巡りが
ぼくの五感全体を甦らせる
五感が五感を感じている

街の明かりが順番に消えてゆく
次はぼくの部屋の番かも知れない
目をつむってみる 白い残像の中で
涙が自然に溢れてくる
20/11/14 13:40更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
寒くなりました。今日は、こちらは天気が好いのです。そちらはいかが?

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