一番星
波の道が 急いで
私を通過する すると
二つに割れた
イチジクが どこかの空で
その果汁を 私の
喉元に流してゆく
私は眠たさの余り
横になるが この高鳴る
心臓と脈管の血潮は
あの空の立体的な
構図の裡に
ピッタリと嵌め込まれる
南に一番星が見えた
まだ暮れなずむその時に
またたく星は
色ガラス窓のように
私には思えた
月が出て 満月から
少し経ったばかりの
形の揺らぎが目を射る
―今夜はつきあうよ
とだけ言って微笑んだ私―
私を通過する すると
二つに割れた
イチジクが どこかの空で
その果汁を 私の
喉元に流してゆく
私は眠たさの余り
横になるが この高鳴る
心臓と脈管の血潮は
あの空の立体的な
構図の裡に
ピッタリと嵌め込まれる
南に一番星が見えた
まだ暮れなずむその時に
またたく星は
色ガラス窓のように
私には思えた
月が出て 満月から
少し経ったばかりの
形の揺らぎが目を射る
―今夜はつきあうよ
とだけ言って微笑んだ私―