余りに美しすぎて
ほとんど目に見えない
花の息吹が　私へと
今日の開始を知らせる
甘露は満ちた
飲み干すがいい　盃を―

雨上がりの　少しの
冷気で　スックと立つ
コスモスの一輪
淡い色艶が　秋の
陽を受けて
ちりばめられたように
空気を染める

―今日はいいことがありそうだ―
例えば　昨晩
体調の悪かった彼女が
元気になってくれるような―

或いは　海と呼応した空が
絶好の温もりを
私たちに与えるような―
いずれにしろ
雨上がりは素敵だ

■作者メッセージ
畦道の、一輪のコスモス。その気高さに見とれていました。