ポエム
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小さな風景
傷負い人の涙は
朝日に潤い
ちょうど彼が見上げた位置から
10メートル前方を
仔猫が走ってゆくのです

彼はしゃがみました
その仔猫が 自分に
近づいてくるか
試すためです
仔猫が駆け寄ってきます
彼は手を差し伸べて
再び泣きました

仔猫に パンと
ミルクを買ってきて
それが ガツガツ食べるのを
彼は嬉しそうに見ています

灰色の空が
内側から輝きながら
晴れ渡ってゆきます
仔猫と彼と―
それは小さい風景です
しかし とびきり美しい―
20/08/29 14:49更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
見る、と、見守る、では、大違いです。見守ることは、一緒に痛みを分け合うことでもあるでしょう。

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