彼女の手(散文詩)
一つの総体(マス)としてぼくをみてくれ。
そして、出来得んば、その目を逸らさないでくれ―。
いかに醜い生き様でも、いかにブ様な生活であっても、それが<ぼく>なのだ。
お願いだから、サッと目を外さないで―。
ある女性は、
―あなたの疲れた目が好き。
と、いってくれた。
ぼくは、大いに逆説だと思ったが、その理由など聞かなかった。
だけど、彼女はぼくの目を見たんだ。
そして、後ろに回って目隠しをしてくれた。
ぼくは、その時、不覚にも涙をこぼしてしまったが、彼女の手ほどの優しさは、かつて味わったことがない。
―沁み入るような・・・血のような優しさ・・・。
ぼくは、彼女の手を握った。
すると、彼女の手は、かすかに震えていた。
そして、出来得んば、その目を逸らさないでくれ―。
いかに醜い生き様でも、いかにブ様な生活であっても、それが<ぼく>なのだ。
お願いだから、サッと目を外さないで―。
ある女性は、
―あなたの疲れた目が好き。
と、いってくれた。
ぼくは、大いに逆説だと思ったが、その理由など聞かなかった。
だけど、彼女はぼくの目を見たんだ。
そして、後ろに回って目隠しをしてくれた。
ぼくは、その時、不覚にも涙をこぼしてしまったが、彼女の手ほどの優しさは、かつて味わったことがない。
―沁み入るような・・・血のような優しさ・・・。
ぼくは、彼女の手を握った。
すると、彼女の手は、かすかに震えていた。