ポエム
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母性
産んだ子どもに暖を与える女は美しい
母性のいたたまれない発露ではないか

この母乳の勢いを 直接口唇で身体中で
明日への活力に気づかぬながらも育んでゆく子―

それは母と子の黙契であり 二つの別々の
これからを具体化させる聖なる発端である

子の罪のない微笑みが導き出す 今まで
自分さえ知らなかったその母の優美さ―

子ども言葉を発しながら 口を拭ってやる
その手の何と確かなことであろう

母の笑みが 子を静かな健康な眠りへと
引き込みながら 安らかな夜を母も眠る

子の脈拍の早さに常に敏感になりながらも
己れの血の分流を聡く我が胸に感じ取る余裕―

妻とだけ呼ばれていた者が 母という
名称を加えられた時の喜びと責任の鋭さ―

叱る時もあろう その方が褒めるより
多いかも知れない しかしそこには必ず愛がある

子はやがて知るであろう その事々の真実を
自分のためだけに泣いてくれた母の涙の重さを―
24/06/18 02:09更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
今、雨がふっています。さっきまで眠っていました。コーヒーが美味いです。

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