ポエム
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荒野
究極の生の歓喜の戦慄を求める者は
響きとしかいいようのない音素の震えに

目を瞑って耳傾けるしか方途はない
感覚は常に見張られた通過者である

夕暮れ 暗い平面から立ち昇る
この立体的な現在社の聞き分ける

シンボリックで交換不能な音階は
荒野の静寂に晒された月光の囁きである

その荒野に 時間と風が氾濫している
待つ時間と傷を癒す優しい砂のような風である

翌朝のことに心配りをする準備の時間と
今日一日の疲れを休める風紋の形作られる自然と―

賑やかだった真昼への郷愁が ある
一定の間隔を持って蘇ってくる それを

微笑みながら星たちに語り掛けようとする
健気で眩い想い出のような眠る前のひと時

身体は地にあるが 魂は宇宙の広がりの
許す限りのか黒い光りの渦の中にたゆたう

記す術もない形としての未来の開示は
この荒野の夜明けと共に始まってゆくのだ
24/05/15 20:13更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
日常の荒野にも、必ず日は昇ります。

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