ポエム
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限りない命
しょんぼりとして 坊やが独りで
佇んでいる―迷子にでもなったのかな?
周りを見渡す目には 少しだけ
怯えた表情があったのは確か

歯を食いしばって 恐らくは
初めてのこの不安に耐えている
見守ることしかできなくて
ごめんよ―私もキョロキョロしている

そこへお母さんと思しき方が
店から出てきて―ごめん 待った?と
優しく彼に声を掛けたのだ 彼の
顔は一時に明るくなった

そして母親にむしゃぶりつくのだった
泣くのを堪えて 必死になって
この寒空の下 温もりだけを求めて
そのことが 今 叶ったのだ

母親の差し出す鯛焼きを 一度
右手で目をこすって うまそうに
食べている ここは或るスーパーの駐車場
母親は坊やの頭をなでながら

微笑みかわしつつ わが子の
我慢強さに感じ入ったことだろう
途端に笑顔の戻った彼の両頬に
真昼の陽は濡れたように輝くのだった
24/03/12 21:35更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
今、少し雨が降っています。今日は暖かでした。もう、春ですね。

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