限りない命
しょんぼりとして 坊やが独りで
佇んでいる―迷子にでもなったのかな?
周りを見渡す目には 少しだけ
怯えた表情があったのは確か
歯を食いしばって 恐らくは
初めてのこの不安に耐えている
見守ることしかできなくて
ごめんよ―私もキョロキョロしている
そこへお母さんと思しき方が
店から出てきて―ごめん 待った?と
優しく彼に声を掛けたのだ 彼の
顔は一時に明るくなった
そして母親にむしゃぶりつくのだった
泣くのを堪えて 必死になって
この寒空の下 温もりだけを求めて
そのことが 今 叶ったのだ
母親の差し出す鯛焼きを 一度
右手で目をこすって うまそうに
食べている ここは或るスーパーの駐車場
母親は坊やの頭をなでながら
微笑みかわしつつ わが子の
我慢強さに感じ入ったことだろう
途端に笑顔の戻った彼の両頬に
真昼の陽は濡れたように輝くのだった
佇んでいる―迷子にでもなったのかな?
周りを見渡す目には 少しだけ
怯えた表情があったのは確か
歯を食いしばって 恐らくは
初めてのこの不安に耐えている
見守ることしかできなくて
ごめんよ―私もキョロキョロしている
そこへお母さんと思しき方が
店から出てきて―ごめん 待った?と
優しく彼に声を掛けたのだ 彼の
顔は一時に明るくなった
そして母親にむしゃぶりつくのだった
泣くのを堪えて 必死になって
この寒空の下 温もりだけを求めて
そのことが 今 叶ったのだ
母親の差し出す鯛焼きを 一度
右手で目をこすって うまそうに
食べている ここは或るスーパーの駐車場
母親は坊やの頭をなでながら
微笑みかわしつつ わが子の
我慢強さに感じ入ったことだろう
途端に笑顔の戻った彼の両頬に
真昼の陽は濡れたように輝くのだった