ポエム
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ひと粒(秋にできた詩)
こころの清らなる麦のひと粒が
地面に落ちて実を結ぶとすれば
それは素敵なことだ 何故なら
蘇生するという奇蹟だから―

傷のあるひと粒さえ大きく成長する
人間に傷のない者がいないように
全き者とは亡くなってからさえ
その瑕瑾を追って身体を震わせる

影と水でできた仄暗い小道を
テクテクと歩いてゆくのだ
その人に相応しい微笑みが
青空に反射して爽やかであろう

プラタナスの黄色い葉陰に
青白い活き活きとした葉脈が走る
それは空気が許した この
宇宙との繋がりの接点―

夜は緑色に覆われて 涼しい気が
秋虫たちの喉を活発に動かせる
もう少ししたら 小川の上流から
彼岸花が色づくであろう

今日の発見は 今日の学びである
明日へと連なるための拠り所である
今日の花が咲き そして明日また
新たに開花すべき蕾を準備する

それがひと粒に許された発展とすれば
いかに多くのその多種のひと粒に
世界中 または宇宙が溌溂と
反映することであろう それは

自然の抱擁であり 私たちへの
これ以上ないプレゼントである
そのことに目を瞠って驚くことが
このひと粒の未来への裂開であろう
24/01/06 15:49更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
新年が始まっております。皆様のご健康とご発展を祈らずにはおれません。

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