ポエム
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始まり
剃刀のような鋭利な
夜明けが始まる前に
私は今日を始めてゆく
例えばこの薄闇の裡から
夏花の開きかける音を
一杯のコーヒーと共に聞くこと
それは紛れもなく始まりなのだ
いずれ終わる一日であっても
必ず報われると堅く信じて―

泉の水は酸素を多く含んでいる
今 緑の空が朝露を置いて
畑の中に海のように広がる
信用するに足る自然の奥行きが
このように見事に まるで
祈りのように展開してゆく
清々しいこの涼気の棚引きは
空間を歌わせ 大地を笑わせる
この瞬間のために設えられた
余りに静かで 豊かな舞台は
これから華やかに幕を上げようとしている
23/06/22 14:55更新 / 武中義人



談話室



■作者メッセージ
祖母は、一日で昼が一番長い夏至の日が好きでした。

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