ポエム
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悲しい妄想。
部活が終わって、疲れたーとため息をつきながら家に帰る。
静かな夜の町を
ぽつんぽつんと立つ街灯の明かりが
蛍のように照らす。
優しく、弱い光だった。
車の通らない道路を渡ったその時…

その時。
私は想像した。




私がこの小さな道路を渡る。
私は右から走ってくる車に気付かない。
すぱーーーーーーーーーん
。。。。

  しばらくすると私は死ぬ。

視界はぼやっとしている。
車はあっという間に何処かへ行ってしまった。
ドライバーは私を引いたことに気づかなかったみたいだ。
誰か、助けて、。
声は出なかった。
誰もいない。
ああ、何も見えなくなった。
静寂の音すら消えた。
光や音というものと切り離された世界に来てしまった。
それはただの闇だった。
そういえば明日は模試だ。
ああ、最悪。
何してんだろ。
今日帰ったあと勉強しようと思ってたのになー。


この「しばらく」の時間はなんのためにあったのだろう。
最後の最後に頭をよぎったものは来ない明日の模試。
死ぬ直前、
誰かがそばにいてくれるわけでもなくて、
好きなことをしていたわけでもなかった。

ただただ疲れた1つの体が暗い夜に溶けていった。

私の魂はこの世界から消えた。

1人で死にたくなかった。


せめて、私が死んだ後でいいから、
誰かが私を見つけて
少しでも震えて叫んでくれていたら嬉しい。


21/08/16 09:31更新 / すず



談話室



■作者メッセージ
怖い詩を書いてしまいました。

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