人はいつか死ぬ。
寿命で必ず死ぬ。
寿命がまだ余っているのに
死んでしまうこともある。
病気で死んでしまうことがある。
事故で死んでしまうことがある。
人に殺されることがある。
自分で殺すことがある。
災害で死んでしまうことがある。

いろいろな死に方がある。
どんな死に方でも、
本人にとっては
結局、本当に、
ただの死でしかなくて
死んでしまっては
取り戻せないし
悲しむこともできない。

死は本当に恐ろしいなと思う。



テレビに災害で荒れた景色が映る。
「わあ、ここもひどい雨だね…」
地球上に住んでいる以上
見慣れてしまった自然災害のニュースに
ただ同情する。
災害で死んでしまった人がいたらしい。
「やっぱりひどい災害だったんだね…」と呟く。
よくある災害だと思ってしまっていた。
私は自分の浅い考えに悲しくなった。


彼は昨日、
次の日自分が死ぬことになるとは
思いもしなかっただろう。

明日があると思っていただろう。
来年があると思っていただろう。
10年後があると思っていただろう。
だが今日、
彼の未来は全部消えてしまった。

明日はこれをやろう！
と思っていたこともできないで、
気づいたら
自分の存在がなくなってしまっていたのだろう。
来年はこんなことに挑戦したい！
10年後にはこういう人になりたい！
と思っていたことも叶わないで、
気づいたら、
自分の人生が終わっていたのだろう。


生きていられている今の私は
幸せ者なのかもしれない。

彼はやりたいことができただろうか。
満足できる人生を送れだだろうか。


私には分からない。
あなたにも分からない。
彼にも分からない。

何にしろ
分かりたくないことだ。

自然には逆らえない。
自然を恨むこともできない。
私達は自然の中で自然によって生まれてきたのだ。