ポエム
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神様
透明なグラスにポツポツと水滴が浮かぶ。
覗かれた水は、静かなつらで光と戯れていていた。

もしもがあるなら私は神様になりたかった。
見えないものを抱きしめた時ほど哀しいことはなかった。
カケラばかりを知りすぎて、
あなたの痛みを知らなくて、
私はどうしようもない喪失感、悲しみ、虚しさ、悔しさのようなものを感じた。
私が神様でなかったのは、あなたのそばに居たかったから。
もしも私が誰よりも不幸であったなら、あなたの全てを呑み込めたのか。
見えない感情、変わらない過去、その人全て、好きと伝えたい。
それには遠くて、辛くて、届いてはくれない。
分かってる。
何もなくても今日は進む。
それでも好きだから。
それだけが確かだと分かるから。

グラスに唇が触れる。
水がぬるくなっていることも知らなかった。
グラスについていた傷も知らなかった。
知っていたのは、私が泣いていることだけ。

22/02/18 20:52更新 / たらいまわし



談話室



■作者メッセージ
私の人生の中で大切な一幕をここに残します。

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