ポエム
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雪が降った日
朧気な記憶が止めどなく降り注ぎ
一夜の内に白く染まった僕の町
溶け合わずに宙を舞った星の光は
明け方 冷たい風を纏い結晶化し
外灯の代わりに薄明かりを放った

立ち並ぶ廃屋は屋根と窓枠から
汗のように 或いは涙のように
細い氷柱を幾つも垂らしていた
どれも僕が触れようとすると
伸ばした手の前で儚く折れた

通りの至る所に散りばめられた
小さな裸足の足跡
無垢な足取りを辿った先の噴水には
寄れたシャツや壊れた玩具が
綿雪でそっと隠されていた

町外れの湖では
組み合わせた巨きな手の雪像が
無言の祈りを捧げていた
厚い氷に埋め込まれた数多の顔が
安らかな眠りから醒めないように

町の何処へ行っても 何を見ても
寒さに震えが増すばかりだった
延々とさ迷い途方に暮れた僕は
濡れた枕を暖炉へ放り込み
ほの暗い色の温もりで狼煙を上げた
23/02/10 21:41更新 / わたなべ



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