雪が降った日
朧気な記憶が止めどなく降り注ぎ
一夜の内に白く染まった僕の町
溶け合わずに宙を舞った星の光は
明け方 冷たい風を纏い結晶化し
外灯の代わりに薄明かりを放った
立ち並ぶ廃屋は屋根と窓枠から
汗のように 或いは涙のように
細い氷柱を幾つも垂らしていた
どれも僕が触れようとすると
伸ばした手の前で儚く折れた
通りの至る所に散りばめられた
小さな裸足の足跡
無垢な足取りを辿った先の噴水には
寄れたシャツや壊れた玩具が
綿雪でそっと隠されていた
町外れの湖では
組み合わせた巨きな手の雪像が
無言の祈りを捧げていた
厚い氷に埋め込まれた数多の顔が
安らかな眠りから醒めないように
町の何処へ行っても 何を見ても
寒さに震えが増すばかりだった
延々とさ迷い途方に暮れた僕は
濡れた枕を暖炉へ放り込み
ほの暗い色の温もりで狼煙を上げた
一夜の内に白く染まった僕の町
溶け合わずに宙を舞った星の光は
明け方 冷たい風を纏い結晶化し
外灯の代わりに薄明かりを放った
立ち並ぶ廃屋は屋根と窓枠から
汗のように 或いは涙のように
細い氷柱を幾つも垂らしていた
どれも僕が触れようとすると
伸ばした手の前で儚く折れた
通りの至る所に散りばめられた
小さな裸足の足跡
無垢な足取りを辿った先の噴水には
寄れたシャツや壊れた玩具が
綿雪でそっと隠されていた
町外れの湖では
組み合わせた巨きな手の雪像が
無言の祈りを捧げていた
厚い氷に埋め込まれた数多の顔が
安らかな眠りから醒めないように
町の何処へ行っても 何を見ても
寒さに震えが増すばかりだった
延々とさ迷い途方に暮れた僕は
濡れた枕を暖炉へ放り込み
ほの暗い色の温もりで狼煙を上げた