街はいびつなジグソーパズル
公園の土管が割れてるのも
電柱が前かがみなのも
誰かが爪を噛んだ指で
無理やりピースを押し込んだから

雲のかわりに空に浮かんだ
幼い顔が赤く膨れて
ほら　夕立が降りだした
ぬるい雨粒を被ったまんま
街路樹はしんとなびかない

ふてくされる子をからかうみたいに
窓の向こうのカラスの群れが
しゃがれた声で　鳴いた　鳴いた

立ち尽くす人の頭の上を
思い出がひとり歩きして
ほら　何もかも滲ませた
ふやけた髪や帽子のまんま
みんな遠くを見つめてる

駄々をこねる子をさとすみたいに
壁に掛かったボンボン時計が
鐘を優しく　鳴らした　鳴らした

いびつな街のジグソーパズル
寂しい空き地だらけなのも
地平線がばらばらなのも
誰かがピースを握りしめて
冷たい布団に潜り込んだから