アザラシがだらだら泣いてたよ
波打ち際に溜まったドロに寝転んでさ
気持ちいい　ああ気持ちいい　
もう海には入らないぞ　だってさ

カラスがもぐもぐ泣いてたよ
理性の糸で喉を縫われちゃってさ
苦しい　ああ苦しい　
もうゴミは漁りません　だってさ

爺ちゃんはとっくの昔に死んだよ
石を投げて川面に描いた波紋を
婆ちゃんの笑顔と見間違えて
頭から飛び込んで溺れ死んだのさ

父さんはずうっと帰ってこないよ
歓楽街の下品でやかましい光を
仏様の後光と見間違えて
母さんも父さんを追いかけて行っちゃったのさ

こんなこと猫のお前に話してもね
だってもう死んじゃってるもんね　お前
誰にもなびかない生き方をしてたから
横断歩道を渡りきれなかったんだね

僕はお前みたいには死ねないんだね
もしかしたらって期待したけど
血まみれの車はみんな僕の前で止まっちゃうよ
ぼうっと突っ立ってんな馬鹿野郎　だってさ