ポエム
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首輪
友達が飼っていた犬がいなくなった
散歩の途中で首輪が外れて
そのまま走り去ってしまったらしい
友達は泣きながら話していた
僕は聴きながら胸をときめかせていた

朝のホームルームに知らない先生が来た
僕らの担任は生徒と男女の仲になって
学校をやめさせられたらしい
その日はスカートを履いてきた男子もいたりして
教室が一日中騒がしかった

僕らは沢山の首輪を嵌めながら
この社会で暮らしている
首輪を嵌める経緯は様々で
自分から望んで嵌めることもあれば
誰かに無理やり嵌められることもある

父さんと母さんはたまに親という首輪を外して
夜中にこっそりと抱きあっていた
そんな時は僕も子供という首輪を外して
酒臭いお兄さんやお姉さんに付いて行ってみたり
煙草の煙にむせながらはしゃいでみたりした

僕は鏡に映った自分の顔を見つめながら
ぼんやりと考えたことがあった
もしも僕という首輪も外せたなら
僕は何になれるのだろうか
どこに行けるのだろうかと

友達の犬は数日後に死体で見つかった
交差点の中央で車に轢かれて
血まみれで倒れていたらしい
友達は泣きながら話していた
僕は聴きながら足の震えが止まらなかった
24/03/28 22:30更新 / わたなべ



談話室



■作者メッセージ
嵌める(はめる)
轢かれて(ひかれて)
です。

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