ポエム
[TOP]
おじさんの航海
あのおじさんの口笛は
いつも陽気にらりぱっぱ ぱあらりら
目尻に浮かべたボロの小舟で
どこか遠くを目指してた

おじさんはよく言っていた
俺は沢山の嵐に遭ったが
それでも沈まず生き延びた
俺は一流の船乗りなんだ

だけどいつでも船酔いだった
真っ赤な頬に震えた手
誰にも見えない地図を広げて
しゃがれた響きのヨーソロー

泣きべそをかく子供みたいな
歪んだ顔で笑ってた
そんな姿が情けなくて
少し怖くて でも好きだった

おじさんのあの口笛を
真似して僕もらりぱっぱ ぱあらりら
ボロの小舟が目尻を濡らして
遠いあの頃へ流れてく
23/02/10 21:12更新 / わたなべ



談話室



■作者メッセージ
陽気(ようき)
遭った(あった)
歪んだ(ゆがんだ)
です。

最近中島らもさんの「今夜すべてのバーで」を読みました。この人の本は初めて読みましたが、文章の感触というか雰囲気がとても心地よくて、もっと他の作品も読もう!と思いました。
この詩は中島らもさんのことを書いたわけではありません。

TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c