夏の夕暮れ
山の麓の雑木林から
無数のアブラゼミ達の声が
騒々しく けれどどこか淋しげな響きで
生温い風と共に流れてくる
空き家の庭の片隅では
一本だけ残された紫陽花が
まるで 泣き疲れたかのように
暗い表情で俯いている
入道雲 線香の匂い 滲んでぼやけた打ち水の跡
家路へと伸びる影に抗いながら
沈みゆく日を追う子供の背中
どれも儚い幻だと 分かってはいるけれど
僕はいつの頃からか夏が来る度に
心の夕暮れに迷い込むようになって
無数のアブラゼミ達の声が
騒々しく けれどどこか淋しげな響きで
生温い風と共に流れてくる
空き家の庭の片隅では
一本だけ残された紫陽花が
まるで 泣き疲れたかのように
暗い表情で俯いている
入道雲 線香の匂い 滲んでぼやけた打ち水の跡
家路へと伸びる影に抗いながら
沈みゆく日を追う子供の背中
どれも儚い幻だと 分かってはいるけれど
僕はいつの頃からか夏が来る度に
心の夕暮れに迷い込むようになって