ポエム
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夕暮れからはぐれた日
広場の時計が文字盤に
家への道を真っ直ぐ描いて
六時を知らせる鐘の音は
母さんの声のようだった
早くお帰り 可愛い坊や
夕暮れを見失う前に

見慣れない顔の紙芝居屋が
とっておきの話を持ち出して
お姉さん達が踊る姿に
友達はみんな夢中になった
溶け出したアイスキャンディーが
手を汚すのを気にもしないで

今でもはっきり憶えている
僕の中で何かが変わった
遠い昔の あの日のことを

山の向こうに消えたお日様を
呼び戻そうと思ったの
でも お月様が出てきたの
頬を真っ赤に染めたあの子が
土手の草むらで一人きり
辛そうにうずくまっていて

臭そうな犬が残していった
ポールの根元 おしっこの染み
苗が植わるのを待ちわびて
粘っこく揺れる田んぼの水面
息を切らせば切らすほど
夕暮れは遠くなっていって

今でもはっきり憶えている
僕の周りで何かが変わった
遠い昔の あの日のことを
23/02/10 21:26更新 / わたなべ



談話室



■作者メッセージ
文字盤(もじばん)
真っ直ぐ(まっすぐ)
描いて(かいて)
音(ね)
紙芝居屋(かみしばいや)
頬(ほほ)
粘っこく(ねばっこく)
です。

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