ポエム
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バラバラバラバ
稲穂の香りの染み込んだ
田圃を渡る風を浴びて
懐かしい景色の背景に
晴れた空を見上げて

雪の降る日を思い出した
田圃も川も白くて
懐かしい景色の背景を
白い空がうずめて

鏡の中で笑う
もう一人の自分

緑の匂いが濃くなった
曲がりくねった道で一人
全身で吸い込んだ薫風に
欠けた心が痛んで

雪の降る日に離れ離れになった
自分と自分ひとりとひとり
懐かしい景色の背景に
ハッキリとヒビが入って

鏡の中で嘲笑(わら)う
バラバラになった自分
鏡の中で踊る
バラバラになった記憶

繋ぎ合わせ季節を紡いだ
バラバラになった記憶と
鏡の中で嘲笑うバラバラになった自分
夏の終わり冬の足跡
春の兆し秋の足音
バラバラになった自分を彩る
記憶の奥のSeasons
偽りの造り物のバラバラバラバラ
バラバラになった自分を
つなぎ合わせた空蝉のSeasons
バラバラになった自分が
鏡の中で嘲笑う
20/09/16 21:44更新 / キッド



談話室



■作者メッセージ
今日ふと、豊橋市は石巻山から牛川町を経て下条に抜ける長閑な道を走ってて
風が夏の日差しに蒸された緑の香りから
稲穂の香ばしい匂いに変わっていることを感じたので
書いてみました

過去や記憶なんて幾らでも美化して改竄してしまえるけれど
自分で自分はダマせない…

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