ポエム
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やわらかい場所
年だけ取って研ぎ澄まされた
時計の針が突き刺さる
記憶の中のやわらかな場所

年だけ重ねて尖り過ぎた
時計の針が切り裂いた
心の中のやわらかい場所

竹藪、坂道、柿畑
記憶の中の故郷を歩く
あの日、畦道、用水路
夕方の景色を思い出す

年だけ経って崩れそうな
時計の針がまた動いた
記憶と心あたたかい場所

竹藪、坂道、柿畑
曲がりくねった道をゆく
あの日、夕焼け、独りぼっち
子供の僕が年老いてく
出窓、アパート、白い壁
血のにじんだ涙こぼして
あの日、石くれ、アスファルト
子供の僕が傷ついてる

年だけ取って研ぎ澄まされた
時計の針が突き刺さる
記憶の中のやわらかな場所
死体を埋めて立ち尽くしてる
心の中のやわらかい場所
20/09/30 21:21更新 / キッド



談話室



■作者メッセージ
子供の頃、豊橋市の牛川というところに
一時期、土日だけ通っていました
離婚した父親のアパートに泊まらされて、殴られたり家事をさせられたり気に喰わないとまた蹴飛ばされて
トボトボ歩いた坂道と、その時の景色を
手探りで触れて書き出してみました
今では様変わりした道路や住宅街も
今でも僕の心の中では、冷たく寒い夕焼けの柿畑

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