ポエム
[TOP]
背水の陣
柔らかい大理石に、思い切りコインを投げつけると
チェックマークのような傷ができたよ。

ジャンケンポンで君がチョキで、僕はパー。
すかさずそのまま平手打ち。これが僕の勝ちになるか?

プールサイドに落ちた、匿名の髪の毛。
地面にこびりつくあれこそ、絶対悪。

けん玉で、世界一周。糸が絡まる。絡まる。

読みかけの本の栞を、さらに折り曲げる。これが特効薬。

交尾中の虫を、無理やり引き剥がす。爆ぜるべし。

黒い絨毯のような海に、弾丸をぶつければ、痛いのは、僕だ。

誰かの真似をして、ビー玉を舐めてみる。溶融。
ついでに、火傷痕も舐めてみた。こっちの方が、清涼じゃないか。

一点の醤油のシミ。気に食わないので、茶色にしよう。

五年前のサバ缶は、可食か?
缶詰が腐敗する過程は、おそらく僕の成長より遅い。

僕の手相は、都心の交通ネットワークより、画期的な路線図だ。
おそらく幸運は、宿っていないだろうがね。

銀色の指輪に、傷がついたので、絆創膏を貼ってあげようね。
痛いの痛いの飛んでいけ。

これらの短詩が、僕を形作っているんだぜ。どうだろう。面白いか?

この詩は謂わば、背水の陣。
20/04/26 00:40更新 / 伊那秋菜



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c