ポエム
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惜別
選べやしないんだ。

二つにぱっくり分かれた道は。

況や、二人が別々の方向を向いているときには。

さらば、どうするか。

互いに進みたい道を、進むしかあるまい。

良い巡り合わせであれば、二つの道はまた出会う。

でも、そうは言っても、寂しいよ。

別々の道を歩むその時間が、寂しい。

きっと道中、拗ねて、投げやりになって、寧ろ二つの道が重ならないことを願ってしまう。

苦しい。ただひたすらに苦しい。

展望は開けていても、前に進む意欲が湧かない。

でも、片方にも合わせることはできない。

何故なら、そこには自分自身の意思が反映されているから。

これをねじ曲げてしまうことは、僕自身の柱を折ることになるから。

やはり、二つの道が出会うまで、忍耐するしかないのだろうな。

また、別れ道が少し先にある状態で、二人でまっすぐ歩んでいくのは、なお苦しい。

破滅を知って、破滅に向かわなければいけないことの哀しさは、この上ない。

そうさ。覚悟を決める。これだけだ。

二人別々の道に進み、二度と重ならずとも、その事実を享受する強さを、持たなければいけない。

その先に何があるのか、知る由もない。

覚悟だ。一歩一歩を踏み締める覚悟だけだ。

ああ、こんなことなら、二人で歩まなければよかった。

そう呟いて、落涙した、たった今の僕。

20/03/19 01:54更新 / 伊那秋菜



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