ダンス
忘れられない
まるでダンスを踊るように
この部屋を自由に行き来してた
気高い猫ニ匹は
今はもういない
数えられない
綺麗なあの瞳から流れ落ちた
彼女の涙を想い出す
ひとりっきりでも
心を汚さないように
心を引き攣らせながらでも
生ききらねばならない
そこで描かれた絵が
あの頃の彼女の微笑みを
伝えてくれるから
諦めない涼しげな声が聴こえる
気がするんだ
いつも幻聴なんだけどね
生命に陽は落ちるのか
意地悪な黄昏の色のことだけではない
正しくて真実の歴史を
みんなそれなりには識っているよね
さてさて
いまはもう居ない
あの二匹の黒猫の瞳に
春がやって来るのは
いつになるのだろうか