寂しさの向こう側《改》
寂しさが、
海になっている。
空にはさまざまな
星座たちの物語が
かたられている。
そこでは泳げないはずの私が
のほほんと、浮き
星をみあげている、
ぷかぷかと、浮き
月をみあげている、
ひとに入り込んだ寂しさは
北斗七星に掬われて
静かな砂浜に
えんえんと
流し込まれてゆく。
ひと掬いの寂しさは
砂に染み込む海水と化し
寂しさの海へと流れだしてくれている。
ええ、
夢の中での
出来事です。
それが夢だと識りながら私は
その、
心がひび割れるほどの孤独さと
ちゃんと、
向き合う勇気だけは持っておこうと
軽く、
想っているのでした。
そんな夢をみた夜は
むろん、
泣いてなんかやらない
ただ、
生きることの素晴らしさを
探しに昔へ旅をする、
夜は、
まだ浅い。
昔、
君と溶け合った虹色の幸福に
潜り込んで、
そして、
寂しさの海を抜き手を切って
泳ぎはじめる、
そんな夢を抱きしめて
だんだんだんだん
寂しさの向こう側へ
きっと射す朝日の赤へ向かって
泳ぎつづける、
夢を、
みる。
ほんとうを云えば、
これっぽっちも、
泳げないんですけどね。