雪のゆめ
あまりに高くて
その山には
鳥が飛ぶことさえ
久しくない
あまりに険しいため
だれもその山に登ろうとさえ想わず
人の足あとなど
どこにもない
その山をみあげられる湖に
舟を出して希望を探す少年がいる
希望を釣りあげようと
たったひとりで糸を垂らす少年
けれど希望は釣れず
いつのまにかに
世界は雪につつまれ
みあげるとその山は
かなしみをすこし湛えた
しろい山となり
陽光に照らされた部分は
鏡よりも綺麗に
なにものかを映しだしていた
23/06/03 09:19更新 / 花澤悠