ティンカーベルよ、ティンカーベルよ、酸っぱい果実の香り立ち
小雨に降られても
傘なんてささないで
ハンドポケットで歩いてゆく
でも
逃げず
前はちゃんとみすえて
歩いてゆく
いんわいで にぎやかな 夜のまち
人波の道のさきにみえる
彼女の幻から目を離さず
こっちも歩きつづけます
歩きながら
ラインもせず、ラインも読まない彼女は
じつは
スマホなんて
持っていないんだと
それで
そうだね
ただ 歩き続ける彼女は いさぎよい
ゆうべは眠れなかった
真っ赤な真摯な目は
もはや会うこともない 人の姿を
どんなことをしても捜し出そうとする
ほとんど怒りにきらめいている
けっして泣かない 誓ったから泣かない
だから逆に雨がいいのかもしれない
死んだら会えない 意味がわからない
だから今夜は鉄のように冷たい心引きずって
一人であることを確かめる為には
涙よりは 雨の雫がお似合いだろう
黒いティンカーベルよ
ティンカーベルよ ティンカーベルよ
好きで死んでは いけないか