恋がないのに
恋がないのに
あなたに一目逢いたくて
あの日々が懐かしいなんて
悲しみに心囚われ
ため息が胸を覆うとき
私とあなたの闇は忘れるべきでない心まで
めんどくさげに棄て去ってしまったらしい
ただ覚えているのは
透き通るほど消えかけた劣情
傷ましい恋ごころのなれの果て
気づいたら明日には小雨も止み
にぎやかな世界が疾く復活を遂げることだろう
けれど私の『好き』は戻らず
嘘にまみれた平明な日々が
またゆったりと続こうとしているだろう
この世界から神々しかった
至純の恋が消え失せたとき
すべての愛やキスは
生々しい劣情に成り下がったのだから
そんな世界でも
それを知りながら
それを認めてしまったのは
だれの夢なのだろうか?
それとも
それも愛とかいうつもりなのだろうか?