ポエム
[TOP]
夜の夜中に散る花は



  

夜の夜中に散る花は
氷のような冷たさで
涙のように儚くて
子猫のように鳴いていた

ちいさな川に落ちたとき
あっ、
とかすかに声をあげ
そしてそのまま沈むとき
静かな目のまま消えてゆく

何百枚の花びらが
真雪のように降りそそぎ
小川はすっかり透明な
悲しみ色に染まりきる

夜の夜中に散る花は
ひらひらひらひら舞いながら
甘い香りをさせながら
にんげんみたいに泣いていた




22/12/18 10:41更新 / 花澤悠



談話室



TOP | 感想 | メール登録


まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.35c