檸檬色の、彼女へ
深夜、国道に落ちていた
焼きついた《絶望》を海に向かって投げた
海には少し怖いくらいの
重く暗い波の音しか
していなかった
ポチャン、
って
聴こえるかとも
期待した私が
少し恥ずかしいくらいに
海は泣いていた
生きてさえいれば
どんな苦しみも
笑って話せる
日が来ると
夢をみる
揺蕩う小舟はいつまでも
揺蕩いつづける気もするし
目的である人はもう
私と一緒ではいなくなる
揺蕩う心はいつまでも
消えずに降り積む小雪のよう
夜空を
みあげている
そこにも海はあるはずだから
それはさすらいの
星の海だろうか?
遠いむかしの
幸せなメロディーを想い出す
それは
あの人のくちびるからこぼれる
《はっしゃばい》
私のくちびるは
カサカサでひび割れて
こんな様になっちまって
だれにもキスすらできねーや
なんて、ね
そんな相手もいねーから、
いーや。
くだんの月光が
海沿いの国道に
あかるい夜をふりまいてくれるなら
生きても
生きても
終わるまで生きても
良い、と、想えたんだ
どうせ人はひとり。
ひとり、ひとり、影をまとって生きている
たとえれば
どんなに苦しい日々も
ひとりで
耐えて来た
だれにもすがらず
だれにもたよらず
てね。
そんななかで
なぜか私にやさしくしてくれた
ひとがいたのも
ほんとうだったりするから
生きる、って。
素晴らしい、ね。
って。
想ってみても、
いいんだよ?