秋の丘から視おろす幸せ
心がすこし疲れたら、
丘へ登って眺めましょう。
ヒンヤリ風は吹くでしょう。
団欒の灯(ひ)が視えるでしょう。
家の中では仲のいい
家族が笑っているでしょう。
その夜囲んだ食卓は
たとえば鍋の湯気でしょう、
たとえば山盛りカレーでしょう、
たとえば揚げたてカツでしょう、
たとえば麺を啜る音。
そこで言葉は意味のない
賑やか音色になるでしょう。
あなたは夜に憩うでしょう。
宙(そら)で三日月憩うでしょう。
そしてあなたは指を差し
子どもに星座を語るでしょう。
神さまたちの失敗や、
ひとの愚かな過ちや、
悲しい終わりの片恋や、
結ばれなかった両想い。
子どもも真顔でしんみりと
すこしのあいだは聴くでしょう。
けれどいつしか寝息立て
夢の世界へ行くでしょう。
心がすこし疲れたら、
子どもに戻って眠りましょう。
夢はくっきりカラーでしょう。
とても楽しい夢でしょう。
けれど枕は濡れてても、
起きたら忘れているでしょう。