星の笛
その夜
夢をみていたのかもしれない
星たちの瞬きを祝うように
笛の音がどこからか聴こえたんだ
そのおとに、
初めて気づいたとき
切ないほどの愛しさが
急に胸の奥に湧き出して
時が止まっているみたいな
静かな世界に
ただ
星の笛だけが
やさしくなり続けているのかと
想ったよ
なにかを
想いつめたわけでもない
叶えたい
夢を棄ててしまったわけでもない
すこし、世界が、
私を甘やかしてくれているのか
その夜、
新しいじぶんの涙を知ったんだ
それが祝福の喜びを告げる音色であることは
聴くものすべてに伝わるだろうけれど
羽ばたいている星たちの瞬きを
ほかの誰も気づかないのかも
私にしか
聴こえないのかも
しれないことだけは
わかったよ
愛する人よ
愛する人よ
君にだけは
伝わってほしい
それが
たとえば夢であったのなら
その夢をいっしょにみたいんだ
たとえばもう一度
ふたりでやりなおそうと
想ってくれないにしても………
たとえばそのあとのことはかまわない
ただふたりで
聴きたいんだ
それが
これで最後の夜になるのだとしても、
それが
ほんとにほんの一瞬の
夢の中の夜空に響く音色だとしても。
そんな星の笛のきらめく夜のまぼろし
聴きながら………
星をみる………