ポエム
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秋の空


とても不思議なのは
秋の空気って感じると爽やかな気分に
なれること

す〜って心の中を綺麗な息で
通り過ぎて行って
なんだか
新生させてくれる

街に流れる雑踏や騒音の
慌ただしさやけたたましさが
とても分厚く覆いかぶさる日常だとしても

無人の早朝の公園とか
休日のビルの林立するオフィス街とか
スマホなんてわざとおき忘れた潔さとか
それから新しい一日は必ず訪れるという
満月に刻まれた真実とか

どこへゆく必要もなく
ただ秋の空気を深く吸い込むだけでいい

あえて一言だけ云っていいなら
早朝の空気がベストかな

外を視るんじゃなくて
外に出るんだよ

どこまでもつづく白い道を歩く
それはたとえば灰色のアスファルトでも
白い道だと言い張ってね

秋の早朝、
朝焼けの赤く染まった街の
白い道を歩いていると
後ろの長い影が追いかけてくる

なにも探さない
だれも求めない
ささくれ立った心も
爽やかに変えてしまった
美しい秋の空よ

おどけたピエロの歌をうたうのを
許してほしいと希うんだ

うっすらと消えかけの満月が
少しだけ儚げに笑った気がした






22/10/11 23:46更新 / 花澤悠



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