ポエム
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山で満天の星たちに手をのばす
 

星空に向かって手をのばす
それは天の河をつかむため
満天の、幾百億の、星月夜

足元のちいさな溝には、
澄んだ山水が流れる
昼間の雨のせいか
すこし流れが速いみたいだ

ミクとふたり
山を登った
ふたりでテントで眠るんだ
作ってきてくれたサンドイッチは
トマトとレタスの
私の大好きなやつ
お腹いっぱいになったら
お湯を沸かして
コーヒーを飲んだ

「ついてるよ」
と笑いながら
唇の横に人差し指をのばし
(マヨネーズかな?)

そっと拭ってくれた

そんなに深い意味じゃなく
そうしてくれたのは
優しさだと感じられた

でも次の瞬間
ミクの顔があまりに近くにあって
あまりに美しかったから
思わず
ミクの唇に
私の唇を
そっと触れさせてしまった

両目を大きくみ開いて
驚きながらその目から
ポロポロと涙が溢れだしたもんだから

私はすぐにミクから離れて
立ち上がり
腰を90度に曲げて
「ごめんなさい」って
謝ったんだ

深く本心から謝りながら
私の長い髪の毛が地面に触れている
なんてすこしじぶんを俯瞰していた

「許さないっ!」
ってミクは声を荒げて
私の髪を持って
私の顔を引っ張りあげた

そしてまじまじと私の目をみつめ
そして私の口にじぶんの口を
きつく押しつけてきたんだ

甘い香りがしたのは
なんの香りだったのか



そのあとのことは
ふたりだけの
秘密………



星空に向かって手をのばす
それは天の河をつかむため
満天の、幾百億の、星月夜

足元には、
澄んだ山水が流れる
昼間の雨のせいか
すこし流れが速いみたい

清冽、
とか云うのかな、
そしてなにより
ひとことだけ云わせて
じつは、
私は、
そのとき天の河に
手が届いていたみたいだ











22/10/08 22:03更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
ガールズラブな、純愛っす。
かわいそうだから好きって云う。のと、悲しいから、好きって云うのの、差が、簡単さなゆめだよね?

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