夜に流れる歌のともしび
夜の街の灯が
ちいさな歌がにじむように灯ります
喜んでかけ寄る子犬の
ちいさな温かい頭を撫でてみます
ハーモニカを吹く少年の長い影を
裏町のちいさな公園のシーソーでみかけました
その少年の痩せっぽっちの身体には、
やさしい夢を見ているのかと感じられる
あたたかい風が吹きました
だれも憎まない
そう誓ったのはサラサラと流れる青い光が
古びたシーソーを照らし上げる光景をみたからです
そしてあの歌が流れるのでしょう
その傷ついた心にぶちまけられた
白い砂糖のような血を恨まず
初恋みたいな甘ったるい匂いの勘違いが
ゆったりと街中に流れ始めることでしょう
歌は朝まで流れ続けることでしょう
そして
朝焼けに染まる雲に
美しい破滅の訪れを予感しても
だれもその警鐘には耳をかさずに
心まで奪われた幽霊の正体を求めて
おのおのが信じた道を歩くのでしょう?
それは美しい顔の幽霊なのでしょうか?
そしてその幽霊に出会えていない
私だけが行く道をみつけられないままなのでしょうか?