黄昏色の時代の
ちいさな橋の上で
星月夜をみあげる
おおきなまん丸の新月が
みえないくせにそこにはあるんだ
下の小川には
昼間はちいさな魚たちがいきかう
いまはすこし引き込まれそうな
無音の暗闇の夜がみえる
自転車が土手を走っている
無灯火だから危ないよ
遠くて声も届かないだろう
乗っていたのはだれだろう
流されているのは
過去の想い出たちの断片かもしれない
恋に溺れた夏の終わりの一枚の写真
心を濡らす微笑みの飛沫
哀しげなラッパの音が聴こえてくるけど
きっと懐かしい黄昏色の時代の
あれは幻聴なのだろうと想うよ
暗闇の底の小川が薄っすらと流れている