言葉にするとそれはとても嘘っぽくて
ぼくは嘘をつく
きっとなんどでも、つく
生きている限りつかずにはいられない
欲しいものをいらないという、嘘
いらないものを欲しいという、嘘
美しい嘘は、つけない
醜い嘘ばかり、つき続ける
この心に悲痛が叫べるのなら
ムンクが描く前の
少年のころの『叫ぶ人』に
なりたかった
その叶わない夢物語は
どこのだれにも決して理解されないのだろう
そのとき冷たい風が言葉を語り
ぼくは
いくつかの秘密を共有する
どんな困難な任務も成し遂げる
諜報部員のような大嘘つきに
なりたかったのだと気づいた
夢と別れることはなかったけれど、
悲しみの震えが唇を真一文字に結ばせる
言葉にするとそれはあきらかな嘘であり
まるで照れるしかないほどの
悲しい顔だったよう
ぼくは嘘をついた
きっとなんどでも、ついた
生きている限りつかずにはいられなかった
いらなかったものを欲しかったという、嘘
欲しかったものもいらなかったという、嘘