ポエム
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秋の風の吹く夜に



ひとり寝の夜は
さみしいのかなと
想っていたけれど

そんなこともなく
すこし心の上の方が
スースーするだけで
べつに
そんなに
孤独ってわけでもないし
けっこう広いベッドを
自由気ままに使えるし
けっこうのびのびできるもんだよ

すこし心の上の方が
スースーするだけで………

なんて
強がり云おうとして
じつは
ちょっと
心が水びたしに
なりそうだと
震えているよ


これからの
まだすこしは残っている人生を
どうして
だったひとりっきりで
生きてゆけばよいのだろう

泣きはらしたまぶた
なんて
意地でもみせられない
君にちゃんと誓ったことだし

それでもう
ベッドで布団のなかに潜り込んで
あかるく笑って夜空を飛んでいる
夢だけみるんだ

君はきっと
夢の中では
生きているみたいに愛してくれるはずだから

そういえば
あのときこらえきれずに泣いたとき
すこしだけ
君の気配が私をくるんでくれてる気がしたな

さすらいつづけてきた
人生だったから
生きてるだけで儲けもんみたいなもんだけど

気だるげな表情で
涙を我慢している私も
紛れもなく
ほんとうの私なんだ

ここから
窓を開けて
三日月をみあげていた
ふたりの秋だった
眠ることもこばんで
ふたりのときをたしかめあったのも

もちろん
この場所で
だったね

だから
そんな君に
忘れられない歓びを
あたえてもらったのだけれども

そして
それはいつのまにかに
たわいもない
むかしがたりの
たわごとになってしまったり
するのだろうけれども………







22/08/31 00:15更新 / 花澤悠



談話室



■作者メッセージ
なりきり詩、です。でも、想うだけでちょっと潤潤きて、書いた詩、です。

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