嘘つきな月
それを嘘だというのなら
真実なんて
秋風に吹かれる
落ち葉みたいなものさ
どれほどの
正しさを掴み取ったとしても
世界に伝わらないなら
ただの嘘つきだ
と想うんだ
笑って、さ
生きてゆくのは
難しいかもしれないとか、夜
想いそうになったら
急いで夜空をみあげるんだ
けっしてゆけるわけのない
遠さにある
けれどもそれは確かにある
星たちの雲のような群れを
みた気になるんだ
星雲とかいう
ピンどめみたいに
星空に
突き刺さる
三日月も
ちゃんとわかってるよ、みたいに
微笑んでくれていた
だから
なにも今日一日に
とても嫌なことがあったもしても
その荊で引っ掻かれた傷を
忘れられなくても、いいんだ、よ
そうだったろ?
あのとき感じた
辛さも、痛みも、いつか、いつかは
薄まってゆくものなんだ、から、ね
夜空に突き刺さり
時を止める
嘘月が
ただやさしい嘘つきで
あってくれたことが
たまらなく
ありがたくって
永遠の
嘘をつきつづけてほしいと
願ってしまうのだ
敬虔みたいに
両手を合わせて
祈ってしまうのだ