天使の微笑みの絵
(短歌十首)
卒業も間近な名のみの春の日のこもれびの射す君の黒髪
ただガムを噛みつづけている渋滞の車で君は飛燕をみつける
目をみるとひとよりもなお思慮深くなにをかんがえているのかブチ猫
そこにある春の陽射しがほのぼのとこの休日を温めてくれる
その弱い視力のせいで僕をみる目つきがちょっと怖い暗がり
なにもなくただ産まれたので生きてきてふと振り返る空に白虹
正しさをさがす瞳で闘っている人も正しくない水を飲む
素晴らしい危険な夜を剥がしたら耽溺したくなる恋の肌
ただ一輪だけで心に潤いと春の香りを漂わす花
いま君が住んでるひとりのこの部屋のやさしい天使の微笑みの絵よ