僕の失敗です
悲しみが消えてくれなくて
そしていつまでも痛みだけが残る
五月の春の午後の海
だからこの骸骨のようなじぶんの影を
僕とは関係ないものだと思おうとした
苦しみは日々の暮らしの中で
やって来ては去ってゆく
サーカスのブランコ乗りのように
悲しみは彼女と話せなくなったこと
こちらは去りはしない永遠の記憶となって
生きることに失敗するって言葉を聴いたとき
言葉の使い方が間違ってると片頬で笑ったんだ
いまはわかるけど彼女がいなくなった今なら
彼女を失ったことはほんとうの意味で
僕が生きることに失敗したってこと
だから僕の影は薄い骸骨になってしまった
だから僕はもうなににもみえない人形でさえない
まして降りそそぐ陽の光がやさしくて
世界をあたたかくしてくれる春の午後
不可視の絶望をその骸骨の胸にみつけた
そしてずっと僕の胸の悲しみはなくならない
諦めて永遠の切ない笑顔を想い描いて
サーカスのブランコ乗りをじっとみあげる
あゝ、そうして一日は過ぎてゆく
過ぎてゆくものなのですね
どこまでも明るくキラキラ光る
五月の春の午後の海