ポエム
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僕の失敗です

悲しみが消えてくれなくて
そしていつまでも痛みだけが残る
五月の春の午後の海

だからこの骸骨のようなじぶんの影を
僕とは関係ないものだと思おうとした

苦しみは日々の暮らしの中で
やって来ては去ってゆく
サーカスのブランコ乗りのように

悲しみは彼女と話せなくなったこと
こちらは去りはしない永遠の記憶となって

生きることに失敗するって言葉を聴いたとき
言葉の使い方が間違ってると片頬で笑ったんだ

いまはわかるけど彼女がいなくなった今なら

彼女を失ったことはほんとうの意味で
僕が生きることに失敗したってこと

だから僕の影は薄い骸骨になってしまった
だから僕はもうなににもみえない人形でさえない

まして降りそそぐ陽の光がやさしくて
世界をあたたかくしてくれる春の午後

不可視の絶望をその骸骨の胸にみつけた
そしてずっと僕の胸の悲しみはなくならない

諦めて永遠の切ない笑顔を想い描いて
サーカスのブランコ乗りをじっとみあげる
あゝ、そうして一日は過ぎてゆく

過ぎてゆくものなのですね
どこまでも明るくキラキラ光る
五月の春の午後の海








22/05/14 19:37更新 / 花澤悠



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